歴代会長挨拶 平成23〜24年

東京大学大学院理学系研究科・理学部化学教室雑誌会
会長 中村 栄一

東京大学化学教室は、平成22年に創設150周年を迎えました。江戸幕府の蕃書調所内の化学部門として文久元年(1861年)に産声を上げ、その後、東京大学での教育の中核を担って日本の化学分野の教育と研究を牽引してきました。この機会にこれまでの150年の歴史を振り返り、今後の150年の展望を語り合うべく、平成23年11月には各界から数多くの方々をお招きして記念祝賀会を開催しました。ご祝辞そしてその後の懇談を通じて、雑誌会会員一同が、今後、学術の振興のみならず世界的人材養成・人材循環への一層の寄与、また世界が直面しているエネルギー・環境・資源問題への貢献することへの決意を新たにしました。

この化学教室において、明治23年(1890年)、教職員と学生によって、外国雑誌に掲載された化学分野の論文の輪講や、その内容を紹介するための会合として開かれたのが「雑誌会」です。それ以来、明治、大正、昭和、平成、と今日に至るまで、実に1400回を超す雑誌会が開催されてきました。そして、昭和に入ると雑誌会は、化学教室の教職員のための親睦会などの行事を企画するなど、化学教室の教育と研究を充実するために貴重な役割を果たしてきました。

そこで我々は、これまでの良き伝統を堅持するとともに、東京大学理学部化学科および東京大学大学院理学系研究科化学専攻の在学生・卒業生、そして、化学教室の教職員、名誉教授、及び在職経験者が、教育、研究を通じて連携し、国際的に活躍できる若手人材の育成事業を継続的に推進するために「東京大学大学院理学系研究科・理学部化学教室雑誌会」(以下「雑誌会」と略す)を平成19年3月15日に設立いたしました。また先般の創立150周年祝賀会において「雑誌会」を化学教室同窓会として位置づけ、運営していくことが決定されました。

雑誌会では、化学専攻ならびに化学科の学生の教育・研究、及び若手教員やポスドクの研究を支援するための様々な企画を進めるとともに、それらを通して会員間の交流・親睦を図るため、行事や企画を会員に電子メールにて配信するなど、卒業生や名誉教授、在職経験者の方々へも、化学専攻ならびに化学科における活動をお知らせいたします。また、出版事業やウェブサイトを通じ、化学専攻ならびに化学科の教育・研究活動を東京大学の内外に広く広報いたします。

平成19年の設立時に、東京大学の化学教室の歴史をまとめた「東京大学理学部化学教室の歩み」(以下、「歩み」と略す)という書籍を出版し、平成23年には「東京大学化学教室150年の歩み」という映画(日本語および英語版DVD)を制作いたしました。また平成20年には、池田菊苗先生が「うま味」を発見して100年目を記念したイベントを、味の素株式会社と共同で開催しました。さらに平成20年度から、企業(賛助会員)の研究を学生に紹介する「先端企業R&D説明会」を開始、この実績をもとに「先端科学技術特論」という大学院授業科目が化学専攻の授業として設定されました。現在(平成22年3月)までに230名を超える方々にご入会いただきました。今後さらにその活動を充実させていきたいと思っております。関係者の皆様には、雑誌会をともに盛り上げていただきたく、ご支援をお願いする次第です。


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