歴代会長挨拶 平成27〜28年

平成27年9月9日
東京大学大学院理学系研究科・理学部化学教室雑誌会
会長 小林 修

東京大学化学教室は、江戸幕府の蕃書調所内の化学部門として文久元年(1861年)に産声を上げ、その後、東京大学での教育の中核を担って日本の化学分野の教育と研究を牽引してきました。この化学教室において、明治23年(1890年)、教職員と学生によって、外国雑誌に掲載された化学分野の論文の輪講や、その内容を紹介するための会合として開かれたのが「雑誌会」です。それ以来、明治、大正、昭和、平成、と今日に至るまで、実に1500回に迫る数の雑誌会が開催されてきました。昭和に入ってからは、雑誌会は、学術的会合や講演会だけでなく、化学教室の教職員のための親睦会などの行事を企画するなど、化学教室における教育と研究を充実するために、貴重な役割を果たしてきました。

我々は、これまでの良き伝統を堅持するとともに、東京大学理学部化学科および東京大学大学院理学系研究科化学専攻の在学生・卒業生、そして、化学教室の教職員、名誉教授、及び在職経験者が、教育、研究を通じて連携し、国際的に活躍できる若手人材の育成事業を継続的に推進するために「東京大学大学院理学系研究科・理学部化学教室雑誌会」(以下「雑誌会」と略す)を平成19年3月15日に設立しました。また、平成23年11月に開催された創立150周年祝賀会において「雑誌会」を化学教室同窓会として位置づけ、運営をしていくことが決定されました。

雑誌会では、化学専攻ならびに化学科の学生の教育・研究、及び若手教員やポスドクの研究を支援するための様々な企画を進めるとともに、それらを通して会員間の交流・親睦を図るため、行事や企画のお知らせを会員に電子メールにて配信するなど、卒業生や名誉教授の先生方、そして、在職経験者の方々へも化学専攻ならびに化学科における活動をお知らせして参りました。また、出版事業やウェブサイトを通じ、化学専攻ならびに化学科の教育・研究活動を東京大学の内外に広く広報しております。

化学教室雑誌会では、平成19年の設立時に、東京大学の化学教室の歴史をまとめた書籍「東京大学理学部化学教室の歩み」(以下、「歩み」と略す)を出版いたしました。平成20年には、池田菊苗先生が「うま味」を発見して100年目を記念したイベントを、味の素株式会社と共同で開催しました。また、平成20年度から、企業(賛助会員)の研究開発・技術開発の最先端を学生に紹介する「先端企業R&D説明会」を化学専攻と共催し毎年開始いたしました。この説明会の実績が元となり、大学院授業科目「先端科学技術特論」が化学専攻の授業として開講されるようになりました。平成23年には、映画「東京大学化学教室150年の歩み」(日本語および英語版DVD)を制作いたしました。さらに、平成25年3月には、化学専攻において10年以上も続けられてきた実践的英語教育 Academic English for Chemistry の経験と成果に基づいて、教科書「Academic Communication: How to Use Your English in Science (科学者のために英語コミュニケーション)」を編纂し、出版いたしました。

現在(平成27年8月)までに、化学教室雑誌会には、497名を越える方々にご入会いただくとともに、賛助企業15社のご支援をいただいています。私どもは、今後も化学教室雑誌会の活動をより一層充実させていく所存です。会員の皆様、化学教室関係者の皆様におかれましては、化学教室雑誌会の活動を、ともに盛り上げていただきたく、ご支援の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。


←戻る


トップへ 上へ戻る