歴代会長挨拶 平成21〜22年
平成22年3月4日
東京大学大学院理学系研究科・理学部化学教室雑誌会
会長 西原 寛
東京大学化学教室の歴史は、1861年、江戸の蕃書調所内に化学部門が設置された時点に遡るほど永いものです。それ以来、文明開化を経て日本が近代化を達成する過程で、化学教室は東京大学の中核的教育組織として、日本の化学分野の教育と研究を牽引し、数多くの人材を輩出し日本における学術の振興に貢献してきました。
この化学教室において、明治23年(1890年)、教職員と学生によって、主として、外国雑誌に掲載された化学分野の論文の輪講や、その内容を紹介する会合として「雑誌会」が開かれるようになりました。そして、明治、大正、昭和、平成、と今日に至るまで、実に1271回の雑誌会が開催されてきました。そして、昭和に入ると雑誌会は、化学教室の教職員のための親睦会などの行事を企画するなど、化学教室の教育と研究を充実するために貴重な役割を果たしてきました。
そこで我々は、これまでの良き伝統を堅持するとともに、東京大学理学部化学科および東京大学大学院理学系研究科化学専攻の在学生・卒業生、そして、化学教室の教職員、名誉教授、及び在職経験者が、教育、研究を通じて連携し、国際的に活躍できる若手人材の育成事業を継続的に推進するために「東京大学大学院理学系研究科・理学部化学教室雑誌会」(以下「雑誌会」と略す)を平成19年3月15日に設立いたしました。
雑誌会では、化学専攻ならびに化学科の学生の教育・研究、及び若手教員やポスドクの研究を支援するための様々な企画を進めるとともに、それらを通して会員間の交流・親睦を図るため、行事や企画を会員に電子メールにて配信するなど、卒業生や名誉教授、在職経験者の方々へも、化学専攻ならびに化学科における活動をお知らせいたします。また、出版事業やウェブサイトを通じ、化学専攻ならびに化学科の教育・研究活動を東京大学の内外に広く広報いたします。
平成19年の設立時に、東京大学の化学教室の歴史をまとめた「東京大学理学部化学教室の歩み」(以下、「歩み」と略す)という書籍を出版いたしました。平成20年には、池田菊苗先生が「うま味」を発見して100年目を記念したイベントを、味の素株式会社と共同で開催しました。また平成20年度から、企業(賛助会員)の研究を学生に紹介する「先端企業R&D説明会」を開始いたしました。現在(平成22年3月)までに230名を超える方々にご入会いただきました。今後さらにその活動を充実させていきたいと思っております。関係者の皆様には、雑誌会をともに盛り上げていただきたく、ご支援をお願いする次第です。どうぞよろしくお願い申し上げます。